【感想】残響に緋の花が咲く(ネタバレ)

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お世話になっている曽野さんがファンタジーの新刊を出すということで飛びついた次第です。
ジャンルは違えど、曽野さんワールド全開の一作でした。

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国境に近い石畳の街・ポゼで小さな花屋《残響庭》を営む少年・デイと身体の弱い師匠。
九年前に侵略の火から逃れ、ここに居を構えて六年。旅の宿《走れ仔鹿亭》のご主人と歌姫・エメリの親娘や街のひとびとに囲まれてなごやかに過ごしてきた。
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(公式のあらすじの一部を抜粋)

しかし、領主が変わるらしい、また戦が始まるらしい、と不穏な噂が流れ。デイと師匠は悲惨な過去と現実を突きつけられることになります。

表紙の花はなんで髪飾りなんだろーって思ってたけどそうそうに謎が溶けてすっきりw
デイは最初から何やら裏の設定がありそうで、ずっと気になってました。特に髪飾りの「石を伸ばす」ってなんじゃろな~なんて。エメリちゃん可愛い。あ、デイくんは素晴らしいフラグクラッシャーでした。
あからさまだよ? ねぇ、今あからさまにフラグ立ったよ?!
でも、彼はよくある「鈍い男の子キャラ」ではなく、本当にそういう情緒を育てる余裕とか環境が無かったんじゃないかな?とも思い、勝手に切なくなるBBA読者は私です。この時点ではまだ分かってなかったけど、本当にまぁよくぞ生きてこれたなってペアだもの。死にかけの男に言葉の分からない子ども。身体的なものならともかく師匠の場合精神もやられてますからね。。。

宿でのほのぼのとした触れ合いの最中、ふと差し込まれる過去の情景。デイと師匠の関係がじわじわと明かされていく仕掛けに焦らされ焦らされ、「災いをもたらす」の意味にハッとなる。
歌に力がある、歌詞の意味はなんでもいい。そんな一文があったと思います。師匠がどんなに平和を願う歌を歌ったとしても、その力で生み出されるのは、多くの人命を奪った炎。なんとも皮肉な話です。節子これ、アカンやつや。
この事実を本人が知らないのは幸か不幸か。妬んでたんですか?って師匠にカマかけたのかと思った。
「何が最良」なのか、その答えはきっと誰も持ち得ないのでしょうね。
この事実を師匠が知ったら、

よくて歌うのをやめる
順当なところで精神病む
最悪自殺

このバッドエンドまっしぐらな三択くらいしか思いつかないよぉ(´・ω・`)
でもデイくんが、「彼を投げ出したりしない」って強い覚悟を持って駆け戻る姿に、少しの安心感を覚えました。エメリちゃんと支え合いながら走っているのと同様に、師匠とも手を取り合って、お互いを助けながら歩いていけるのだと思います。「別の形で花を育む」というのは歌以外の生きがいを見つけることなのかな。それとも、火球ではないものを生み出せるのかな。
なんにせよ、これからの旅路、苦しいものになることは確定してますが、それでも三人で仲良く過ごしてほしいなぁと思います。今までずっと一緒にいたけど、心はすれ違ってばかりだっただろうし。エメリちゃんがいい感じに緩衝材になってくれるって信じてる。思い悩みがちな二人には、ああいう底抜けの真っ直ぐさが必要だと思う。


余談、じゃないけど。サヴァテさんが清々しいまでの悪役。彼にトドメをさす言葉が「生きていきたい」と皮肉っぽい演出で好き。
復讐劇と呼ぶにはあまりにあっけない、仇の死。圧倒的な力を使って仇をうつ、普通だったら爽快感がある展開ですが……
突き刺さるのは「バケモノ」という言葉。それを自称しちゃうところに自虐と諦めのようなものを感じました。
理解を超える存在を、理解できるカテゴリーに押し込んで、「バケモノだから理解しなくていいんだ」ってまわりが思考停止する中、宿の主人のいい人っぷりが際立ちます。出会いのエピソードからして超いい人オーラ出てるもんな。
ああいった振る舞いができるのは、ずっとデイ(と師匠)を見てきたからだろうなと。きっと彼も「とんでもないバケモノだった」と思ってるかもしれないけど、「バケモノの前にデイはデイ」と考えられる人だったのでしょう。


とりとめのない感想になってしまいましたが、最後まで面白かったです(*´∀`)

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